2013年12月27日金曜日

セキララブログ「アトリエ時代の恩師」

あなたに抱かれてわたしは蝶になる。

って
何回羽化したことか。
白い蝶のサンバな女。
学生時代のワタシ。

阿久悠の詩は今見ても表現豊かで斬新だなぁ。
学生時代講演会にも行ったし。
これは余談。

偏見で誠に申し訳ないが、
芸術系の方は、
しばしば、
変わった性癖を持たれている。
ワタシは数々それを聞いて。
そして見てきた。
あるクラッシックの指揮者。
かなり有名な方の
性癖はたぶん誰も知らない。
知ってても言えないくらいのスキャンダル。
ヤバイ。これはとても書けない。
でも、、いつか書きたい。。。
名前も言いたい。

学生時代。
乙女生誕後の
ワタシは好奇心、自己の探究
性行為とは、男とは、快感・性感帯とは、
みたいな内面的な興味と
カッコいい。
ルックス、スタイルがイイ男。
彼はどんな風にワタシを喜ばせてくれるのか。
どんな言葉を囁き、どんな顔で果てるのか?
という表面的な興味。
頭の半分以上がエロスになっていた。

まさにハレンチ娘。
イイ男を見つけるとすぐ上に乗りたがる。
さかりのメス猫時代でもあって、

しかし、
学生。
大学へ向けての勉強。
といっても、
芸大志望な訳で、
お受験には、必須で、
デッサン・絵画を科目としている。
某ギャラリーで紹介された、
大学受験専門の絵画教室へ通うこととなる。
父くらいの年齢の
版画家。当時では珍しい?
とういかこの年代ではまあ、
珍しいだろう
全盛期のキムタクくらい長髪の先生。
長髪先生の工房、アトリエが
ワタシ達の教室でも有った。

放課後、
デッサンを描きに行く。
先生の版画制作と同じ空間で。
ただひたすら描く、描く、描く。
黙々と描く。

先生も制作を黙々と作る。
それまで思っていた、
予備校や塾とは違い。
何かを指導、
具体的にこうしろとか
こういう風に描けば良い。
こんなテクニックが有る。
などといった黒板的なアドバイス。
ご教授頂けるものかと思っていたが。
有るとしても一言。
よし、10分休憩にしよう。
コーヒーを飲もうとか、
今日はここいらで上がりにしようか。
坂井さん、
いや、
坂井戸なんですけれど、、
呼びにくいのか、
いつまでも
坂井さん、
だった。

学生は男女半々、
20人~30人くらいで
土日も含めて
週4回~6回通う
ほぼ連日に近いスパン。
アトリエに通う。
なんとここは、
美術・芸術系大学の合格率は
100%。
裏口やコネ等一切無し。
実力のみで、
これはすごい!

先生は版画家のプロなわけで、
プロの現場はピリピリ張りつめている。
受験の為とはいえ、
プロの現場でワタシ達もデッサンをしているのだから、

同じ緊張感。
モノ作りのプロの空気が、
自然と伝わり。
厳粛に黙々と制作をする。

初め凄く緊迫した感じに、
抵抗もあった、息苦しい。
でも
これがこのアトリエの授業なのだ、
先生の制作現場、同じ空間でデッサンをする事、
先生のモノ作りに対する姿勢が授業。

先生は現場では、
常にプロの集中。
質問すら出来ない。
というか、
最中、下手に質問をすると、
灰皿か、モチーフのりんごや小鉢が飛んでくる。
うるさい!
そんな中
具体的な助言やアドバイスは
先生の助手や、
アトリエに顔を出すOB達。
彼らアトリエから大学迄卒業して、
デザイナーや、画家、教員となって、
受験生達の為、教えに来てくれる。
報酬など無く、自主的に、
ここでは、受験生と助手やOBの
交流で学んでいく環境が出来あがっていた。
過去経験してきたスランプや超えるべき壁を
教えてくれる。

先生は生徒・助手・OBの交流を
一番大切にしていた。
もちろんワタシ達の先生であるからして、
何も教えてくれない訳では無い。

週に1回、品評会が有る。
個々が、その週に描いた作品を並べ、
生徒の自己評価・生徒同士の意見交換
質問・OBの助言・助手の品評。
最後、厳しく総評する先生。

こうやって学ぶ環境は
プロ意識を高める。
ただ厳しいことは確かで、
脱落者も出る。
まだひよっこな学生だ。
しかたない。

ただここでの学びは、
大学時代にも活き
アパレル時代・独立後、
そして
今にも通じるところは大きく、
無償にも関わらず、
通い指導してくれたOB達と同様に
ワタシも卒業後は数年程だが、
次の受験生に渇を入れる為、
教える側としてアトリエに通うようになった。

先生はOBになったワタシ達を
同じ土俵、
プロとして接する。
ジャンルは違えど、
モノづくりコトづくり、
その原点は変わらない。

先生は、いつまでも先生だが、
プロとしてライバルでもある。
だから、
今現在でも
年1回のペース。
銀座の有名なギャラリーで
個展をしている。

生涯現役と公言して
高齢にも関わらず会場の作品は、
成熟された中にも新たな挑戦が伺える。
個展の案内状が届く度に
いつも思う。
まだまだ君達には負けないんだぜ!
と、
DMはワタシ達への挑戦状。

アトリエでの卒業は
ワタシの代で22期生。
少子化もあって、
年々受験希望者は減ってきているが、
教室は今も続いている。

先生は
ハレンチ活動盛んな学生時代のワタシを
今でも揶揄する。
アトリエ内では猫をかぶっていたはずなのに、
バレバレ。
言うたのは誰や!

先生の個展が終われば、
恒例行事。
OBが集まって先生の祝賀会をする。
ひと仕事終えた先生は、
羽目を外しまくって、はしゃぎまくり、お酒を飲みまくり、
昔話をおもしろおかしく披露するというか暴露する。
出てくるネタのひとつが、
ワタシのセキララな話。
いじられる。
ここでか、この公の場でか、おい!
大先輩、知らぬ後輩、
華やかな肩書きを持ったOB達の前で、
名指しのワタシは、赤面状態。
受験時代に先生の助手をしていた女性。
一番お世話になって一番仲良くしてくれた彼女は、
酔っ払ってふわふわ、
ふら付きながらも歌おうとする。
マイクを持って皆さ~ん聞いてください。
洋子さんの為に歌いま~す。
って、
はぃ?
あなたに抱かれてわたしは蝶になる~。
古!
一同、
いや、
先生が大爆笑。
もういい。
ワタシは蝶でいい。
蝶でいいから、飛んで今すぐこの場を去りたい!

 坂井戸洋子「アトリエ時代の恩師」

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